Japanische Klassiker mit Furigana
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme
「お笑いもんだね」
と思わせられた。支那事変が勃発した当初、内地へ一時避難してきた人たちが、ふたたび上海へ帰るので船は満員だった。
俺の船室も六人詰めこまれた。その一人に大阪弁でたえずまくし立てている中年の男がいて、話の様子からすると屑鉄の商人だった。上海の在留邦人なのではなく、上海行きは俺と同じく初めてなのだ。市街戦でさぞかし屑鉄が出たろうから、それを買いに行くのだと言う。安くたたいて、あくどい稼ぎをしてやろうと勇み立っているようだ。ヤケシ(火事場泥棒)みたいな奴だと俺は思った。
ベッドは上下二段になっていた。上段が屑鉄屋で、その下段が俺だ。ねまきに着かえようと、上衣を俺がぬぎかけると、ポケットから可憐な音が聞えた。根室のあのお手玉がひとつポケットにはいっていた。
縁起がいいからどうしても持って行けと波子は俺に言った。縁起がいいというその理由は、俺が聞いても言わないで、波子はただ、おまじないにぜひ持って行ってほしいと言う。トランクに入れようとすると、肌身離さず持っていてくれと言った。
そのお手玉の、アズキとコハゼがふれて、小さな音を立てたのだ。同室の誰にも聞えなかったにちがいない小さな音だが、俺の耳には涼しく可愛く聞えたのである。