Japanische Klassiker mit Furigana
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme
のっそりと起き上った丸万に、
「五館の天下だなんて呑気そうなことを言ってたが、相当なもんじゃねえか」
「四郎さんこそ、相当なもんだ。この騒ぎだというのに、泰然自若……」
「いいや、茫然自失だ」
と言って、俺はポケットのお手玉を握りしめている自分に気づいた。かんじんのピストルに手をやっていない。
「なっちゃねえな」
と俺は自分につぶやいた。自分に言っていたのだが、ロクが運転台から、蛇が鎌首をもたげた恰好で顔だけ振りかえらせて、
「なっちゃねえ?」
自分の醜態を笑われたかのように俺を睨んだ。
「お前さんのことじゃねえ」
と俺は言ったが、ロクは俺の眼に醜態なあわて振りをさらけ出したそのこと自体で、すでに俺に対してふくんでいた。恥しさを俺への怒りに変えていたのだ。この野郎、覚えてやがれといった怨みをこめた眼つきである。
「俺のことか。モサナシ(度胸がない)とは俺のことか」
と丸万が、これは怒った語調でなく、またその反対のしょげた語調でもなく、普通に言った。
「いや……」
俺の泰然自若は、俺がこういう場面に慣れていなかったせいにすぎない。ロクや丸万があわてたのは、公然の殺人をよく知っていたからだ。