Japanische Klassiker mit Furigana
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme
あれから十年経っている。俺の胸はきゅっと締めつけられた。風巻が俺に何か言ったが、俺の耳にははいらなかった。十年も会ってないのだ。ずいぶんながい間会ってないわけだ。そう思うことはかえって、クララと呼ばれていたころの彼女のつめたい肌、それがしっとりと汗ばんだ感触を、まざまざと、ついこの間のことのように、俺の心によみがえらせる。
その照子が、ひょいと俺の顔を見て(そのためと――俺は思いこんだのだが)つかつかと、こっちに来た。我にもなく俺の胸は騒いだ。俺としたことが――これが度胸のいい、胆のすわった男だろうか。俺の心臓は早鐘を打っていた。
「いらっしゃい」
と照子は俺にでなく、風巻の連れに言った。やあ――とその男は言った。照子はつづいて、風巻と俺に、
「いらっしゃいませ」
と言った。新顔の客を迎える挨拶である。
照子は俺を忘れている! 俺は俺の顔が、かーっと赤らむのを覚えた。怒りか、恥か、自分でも分らない。忘れるのは当然だと、俺が自分に言いきかせていると、ここの常連らしい風巻の連れが、
「マダムだ」
と照子を風巻と俺に紹介した。そして風巻をまず、社の特派員だと照子に言い、