Japanische Klassiker mit Furigana
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme
その波子からのガテ(手紙)だった。封を切ると、兄貴の工場の事務用便箋が出てきた。色気がねえなあと俺は言って、豆のような小さな字を読んだ。
俺は「気をつけ」の号令をいきなりかけられたみたいに棒立ちになった。指さきに手紙をぶらさげて突っ立っていた。
「召集か」
いぶかしげに風巻が、
「召集なら電報を寄越すな」
志奈子が死んだという知らせなのだった。裏の川に落ちて死んだというのだ。
乱暴なあの二郎に突き落されたのではないか。波子の手紙には、そうしたことは書いてなかったが、
(志奈子!)
俺は眼前の黄色い川をみつめた。ころころに着ぶくれた志奈子が助けてくれと俺に手をさしのべて、アップアップしながら、水面に浮いたり、沈んだり……。
(志奈子!)
俺は無言のまま風巻には何も言わなかった。そうした俺を風巻は望郷のおもいに駆られたとでも思ったようで、
「野中君。あんたの、上海の友人のことがここに書いてある」
手にした手紙を俺に示しながら、
「丸万留吉は自殺したそうだ。看守のすきをねらって、やったらしい。詳しいことは書いてないが」
風巻の声は変に乾いていた。俺は丸万や百成たちのその後の消息を新聞社からぜひ知らせてほしいと頼んでおいたのだ。