Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme

Aozora Bunko

と丸万は浮かぬ顔だった。

「コウモリは、ああして取るんだ」

「ふーん」

無理に納得させられた顔だった。

「ああして、よく取ったもんだ」

と俺は言ったが、ほんとは、取ったことはない。取ったことはないが、少年のころの俺は道に捨てられたわら草履や牛のわらじをひろって、コウモリの飛んでいる夕暮の空によく投げたものだ。そうすると、わらじと一緒に、コウモリが降りてくる。田舎の話ではない。東京も昔は、周辺の百姓が野菜を積んだ車を牛に曳かせているのを、たえず街で見かけたもので、その牛のわらじが道によく捨ててあった。

二人がかりでやらないと、コウモリは取れない。一人は、空に何か投げあげてコウモリをおびきよせる係りで、他の一人がセミ取りの、袋のついた竹竿を持っていて、地上に降りてきたコウモリに素早く袋をかぶせるのだ。

なかなか取れないが、取れることは取れる。しかし取ったところで、なんにもならない。鳥みたいにカゴで飼うというわけにいかない。カゴに入れても、コウモリはウソみたいに小さく縮まっていて、やがてそのまま死んでしまう。

俺はそれが可哀そうで、コウモリを取らなかったんじゃなくて、いつもひとりでただコウモリをからかっていたのだ。