Japanische Klassiker mit Furigana
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme
「そのじいさんは、両方に顔なのか」
「顔というよか、じいさんの思想が土台、ふたつの面を持っている。一筋縄ではいかないじいさんだ」
侮りとも敬服ともつかぬ語調で砂馬は言って、
「悲堂、歌堂、慷堂、慨堂という支那浪人の四人組のひとりだ」
「悲歌慷慨か」
「四人とも自由民権論者だったらしい。自由民権運動の挫折から、大陸へ志をのばそうとしたのだと、それは自分で言ってたが」
電話をかけに行った子分が、慷堂の在宅を知らせた。
俺は砂馬に連れられて、初めて斎田慷堂に会った。
初めて訪ねたときの慷堂の家は、砂馬の家とそんなにちがわない粗末さだった。ちがうのは、門構えだけがヤケに立派なことだった。
俺たちは二階へ通された。漢籍を積んだ床の間を背にした慷堂は、砂馬が「じじい」とか「じいさん」とか言っていたのから想像したほどの老人でもなかったが、小柄な痩身はいかにもじじい臭く、見るからにひと癖ありげな風貌である。
「君は張継君に似とるな」
と慷堂は俺の顔をじろじろ見て、ひとりごとのように言った。眼光烱々と言うと、いかにも古風な形容だが、それがまたぴたりと当てはまる、古武士のような慷堂である。