Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おさん

おさん

山本 周五郎

Lesen Sie おさん von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.128 Zeichen · 66 Bildschirme

Aozora Bunko

「よう」と参太が云った、「どうした、坊主、まだこんなところにいたのか」

「おじちゃん乃里屋に泊ってたね」

「おめえ藤沢へいったんじゃねえのか」

子供はさぐるような眼つきをし、低い声で答えた、「おれ、腹がへっちゃったんだよ」

「いまでもへってるのか」

子供はこっくりをし、すばやい眼つきであたりを見た。

「ここじゃどうしようもない、いっしょにゆこう」と参太が云った、「どこかに茶店でもあったらなにか食うさ」

子供はうわのそらで頷いた。銭が欲しいんだな、と参太は思った。その子供とは沼津で会った。道を歩いているとうしろから来て呼びかけ、「おじちゃん、おれ腹がへっちゃったんだよ」と云った。着てるのは腰っきりのぼろ、顔も手足もまっ黒に陽やけして、垢だらけで、髪の毛はぼうぼうと逆立ったままだし、もちろんはだしで、繩の帯をしめていた。そのときは銭を与えたが、箱根の宿でまた呼びとめられた。また腹がへっていると云うので、茶店で饅頭でも食わせようと思ったら、いそいで藤沢までゆかなければならないと答え、茶店へはいろうとはしなかった。そこでも銭を幾らかくれてやったのだが、三日経ったいま、この湯本の宿のはずれにいて、同じように「腹がへった」