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Japanische Klassiker mit Furigana

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おしどり

おしどり

新美 南吉

Lesen Sie おしどり von Niimi Nankichi (新美 南吉) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.557 Zeichen · 12 Bildschirme

Aozora Bunko

林泉のほとりに今日も若者はひとりうっそりしゃがんでいた。冠はほころびくつには穴があき、あごにははらはらとぶしょうひげがみられ、頬骨の下にはのみでえぐったようなくぼみがあった。そして凝視している涼しい眼には深い哀しみの色がやどっていた。その眼で若者はさっきから一対のおしどりをあかずながめていた。五色もていろどられた美しいつがいのおしどりは彼らに見入っている傍観者などすこしも気にかけず、つつましやかに、しかしむつまじげに遊んでいた。彼らはかたときも他からはなれることなく、水蓮のそばをすぎたり、ふきあげのしぶきの下をくぐったりした。そのしぶきの中には美しい虹が夢のようにうかんでいた。ただ形象のみからはいずれがおすともいずれがめすとも弁じがたかったけれども、若者は、いつも先に立っていくのがおすで、すぐそのあとからいそいそとついていくのがめすであるにちがいないと思っていた。日は真昼、そよとの風もなく、ふきあげは動かぬ絹の糸のすだれのようにもみえた。若者はそのとき、頬づえを左手にかえて深いため息をついた。すると背後にかすかにものの気配がした。みるとそこには見知らぬひとりの老人が若者をみつめてたたずんでいた。