Japanische Klassiker mit Furigana
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おしどり
おしどり
Lesen Sie おしどり von Niimi Nankichi (新美 南吉) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.557 Zeichen · 12 Bildschirme
女はむかしのままの一筋の真心をもってわたしを愛してくれるのに、このような分裂した気持ちを胸に蔵し、表面だけとりつくろっているのは罪であると思いました。それで一思いに女をすてようとある日女の家からの帰途、わたしは決心したのでございます。よく日永劫女のもとを去るべく、早朝荷物をまとめて、女にはつげずに、都をさして出発いたしました。しかしいざこうときめてしまってみると、たちきれぬ未練がむくむくと頭をもたげてまいりまして、わたしの後髪を力づよくひくのでありました。何くそとわたしは眼をつむって、何も考えないようにして歩きました。けれどもむだな努力でございました。その夜も約束を信じてわたしを待っている女のことを想いうかべると、わたしはもはやこらえることができなくなって、岸をはなれたわたし舟を船頭にたのんでもとの岸にかえしてもらい、また女のもとに帰ってきてしまったのでした。爾来今日まで、ずるずると女とともに日を送ってまいりました。ひたむきに愛する気にはなれず、そうかといって、一思いにすてさる気にもなれません。この二つの心がわたしの胸の中でいつもかみあっておりますので、わたしはこんなに憔悴いたしてしまったのでございます。