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Japanische Klassiker mit Furigana

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おせん

おせん

邦枝 完二

Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme

Aozora Bunko

「おめえ、まだ判らねえのか」

「聞かねえことにゃ判らねえや」

「なんて血のめぐりが悪く出来てるんだ。――浜村屋の太夫が、舞台で踊ってたまま倒れちゃったんだ」

「何んだッてそいつァおめえ、本当かい」

「おれにゃ、嘘と坊主の頭ァいえねえよ。――仮にもおんなじ芝居の者が、こんなことを、ありもしねえのにいって見ねえ。それこそ簀巻にして、隅田川のまん中へおッ放り込まれらァな」

「長さん」

「ええびっくりするじゃねえか。急にそんな大きな声なんざ、出さねえでくんねえ」

「何をいってるんだ。これがおめえ、こそこそ話にしてられるかい。おいらァ誰が好きだといって、浜村屋の太夫くれえ、好きな役者衆はねえんだよ。芸がよくって愛嬌があって、おまけに自慢気なんざ薬にしたくもねえッてお人だ。――どこが悪くッて、どう倒れたんだか、さ、そこをおいらに、委しく話して聞かしてくんねえ」

どやしつけられた、背中の痛さもけろりと忘れて、伝吉は、元結が輪から抜けて足元へ散らばったのさえ気付かずに夢中で長兵衛の方へ膝をすり寄せた。

「丁度二番目の、所作事の幕に近え時分だと思いねえ。知っての通りこの狂言は、三五郎さんの頼朝に、羽左衛門さんの梶原、それに太夫は鷺娘で出るという、豊前さんの浄瑠璃としっくり合った、今度の芝居の呼び物だろうじゃねえか。