Japanische Klassiker mit Furigana
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おせん
おせん
邦枝 完二
Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme
「おせんさん、大変なことができましたぜ。浜村屋の太夫が、急病だってこった」
おせんは「はッ」と胸が詰まって、直ぐには口が听けなかった。
夢
一
子、丑、寅、卯、辰、巳、――と、客のない上りかまちに腰をかけて、独り十二支を順に指折り数えていた、仮名床の亭主伝吉は、いきなり、息がつまるくらい荒ッぽく、拳固で背中をどやしつけられた。
「痛ッ。――だ、だれだ」
「だれだじゃねえや、てえへんなことがおっ始まったんだ。子丑寅もなんにもあったもんじゃねえ。あしたッから、うちの小屋は開かねえかも知れねえぜ」
火事場の纏持のように、息せき切って駆け込んで来たのは、同じ町内に住む市村座の木戸番長兵衛であった。
伝吉はぎょっとして、もう一度長兵衛の顔を見直した。
「な、なにがあったんだ」
「なにがも、かにがもあるもんじゃねえ、まかり間違や、てえした騒ぎになろうッてんだ。おめえンとこだって、芝居のこぼれを拾ってる家業なら、万更かかり合のねえこともなかろう。こけが秋刀魚の勘定でもしてやしめえし、指なんぞ折ってる時じゃありゃァしねえぜ」
「いってえ、どうしたッてんだ、長さん」