Japanische Klassiker mit Furigana
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おせん
おせん
邦枝 完二
Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme
「ここへ来てから、もう半時近くも経ってるんだよ。それだのにお前。――」
「でげすから、あっしは浅草を出る時に、そう申したじゃござんせんか。松の位の太夫でも、花魁ならば売り物買い物。耳のほくろはいうに及ばず、足の裏の筋数まで、読みたい時に読めやすが、きょうのはそうはめえりやせん。半時はおろか、事によったら一時でも二時でも、垣根のうしろにしゃがんだまま、お待ちンならなきゃいけませんと、念をお押し申した時に、若旦那、あなたは何んと仰しゃいました。当時、江戸の三人女の随一と名を取った、おせんの肌が見られるなら、蚊に食われようが、虫に刺されようが、少しも厭うことじゃァない、好きな煙草も慎むし、声も滅多に出すまいから、何んでもかんでもこれから直ぐに連れて行け。その換りお礼は二分まではずもうし、羽織もお前に進呈すると、これこの通りお羽織まで下すったんじゃござんせんか。それだのに、まだほんの、半時経つか経たないうちから、そんな我儘をおいいなさるんじゃ、お約束が違いやす。頂戴物は、みんなお返しいたしやすから、どうか松五郎に、お暇をおくんなさいやして。……」
「おっとお待ち。