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Japanische Klassiker mit Furigana

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おせん

おせん

邦枝 完二

Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme

Aozora Bunko

三日月の淡い光が青い波紋を大きく投げて、白珊瑚を想わせる肌に、吸い着くように冴えてゆく滑らかさが、秋草の上にまで映え盛ったその刹那、ふと立上ったおせんは、颯と浴衣をかなぐり棄てると手拭片手に、上手の段を二段ばかり、そのまま戸袋の蔭に身を隠した。

「あッ」

「たッ」

辱も外聞も忘れ果てたか、徳太郎と松五郎の口からは、同時に奇声が吐きだされた。

三

「おせんや」

「あい」

「何んだえ、いまのあの音は。――」

「さァ、何んでござんしょう。おおかた金魚を狙う、泥棒猫かも知れませんよ」

「そんならいいが、あたしゃまたおまえが転びでもしたんじゃないかと思って、びっくりしたのさ。おまえあって、あたし、というより、勿体ないが、おまえあってのお稲荷様、滅多に怪我でもしてごらん、それこそ御参詣が、半分に減ってしまうだろうじゃないか。――縹緻がよくって孝行で、その上愛想ならとりなしなら、どなたの眼にも笠森一、お腹を痛めた娘を賞める訳じゃないが、あたしゃどんなに鼻が高いか。……」

「まァお母さん。――」

「いいやね。恥かしいこたァありゃァしない。子を賞める親は、世間には腐る程あるけれど、どれもこれも、これ見よがしの自慢たらたら。