Japanische Klassiker mit Furigana
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おばなさわ
おばな沢
山本 周五郎
Lesen Sie おばな沢 (おばなさわ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.479 Zeichen · 45 Bildschirme
そのくらいの考えだったのである。
その後も英之助はよく来た、節子が承知したことを望外のことのようによろこんでいて、そのよろこびを訴えるようなまなざしで、いつもじっとこちらの顔を見た。
――相良に気がとがめるようで……。
英之助はそんなふうに囁いたこともあった。
兄も彼が来ればかくべつ粗略にするというわけではなく、よく話もするし、食事や酒を出すことも珍しくはなかった。そのくせ彼との結婚問題だけは、今でも気にいらないようすなのである。
兄と口あらそいをした翌日の朝、節子が朝の粥をたべ終ったとき英之助が来た。
「また寝ていらっしゃると聞きましてね、城へ来る使いの者に代ってもらって、お顔だけ見にちょっとお寄りしました、すぐ帰ります」
彼は八重歯の覗く白い歯をみせて、明るくいっぱいに笑ったが、心配し不安に駆られているようすは隠せなかった。
「きっと不摂生をしたんでしょう、女のひとは神経がこまかいようでいて、自分のことになるとまるで投げやりになるんだから、山にいてもそれだけがいつも心配なんです」
「このまえはそうは仰しゃいませんでしたわ――」
節子はつい可笑くなって微笑した。