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Japanische Klassiker mit Furigana

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おばなさわ

おばな沢

山本 周五郎

Lesen Sie おばな沢 (おばなさわ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.479 Zeichen · 45 Bildschirme

Aozora Bunko

「いやそれはあなたの聞き違いですよ、私はそんなに気にやむ必要はないと云ったので、決して不養生をしていいとは云やあしません、お願いしますよ、どうか気をつけて下さい、さもないと山にいられなくなりますから」

彼は熱のあるような眼でこちらをみつめ、すり寄って来て手を出した。節子は微笑しながらその手を握った。

「――節子さん」

低く押えつけたように囁いたと思うと、彼の眼がふいにきらきらと光り、握っている手の指が痙攣した。一種の本能的な直感で、節子はあっと叫びそうになった。しかしそのまえに英之助が上からかぶさり、片方の肩をつよく抱かれた。

「――堪忍して下さい」

彼はすぐに離れ、坐りなおして頭を垂れた。眼の中で火花が飛んだような気持だった。節子は掛け夜具を額までひきあげ、そっと自分の唇を拭いた。

「――堪忍して下さい、前後を忘れたのです、日も夜も、眠っていても、いつもあなたのことを思っていました。あなたの御病気が重くなるような気がしてならない、万一のことがありはしないかと、そう思うといても立ってもいられなくなる、毎日そんなふうなんです」

彼は低い声で、胸苦しそうに囁やいた。