Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おじょろうぐも

お女郎蜘蛛

宮本 百合子

Lesen Sie お女郎蜘蛛 (おじょろうぐも) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.913 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

いきな模様の裾長い着物に好きでかつら下地にばかり結って居た様子はそのお白粉気のないすき通るほどの白さと重そうに好い髪とで店の若いものがせめてとなりの娘だったら附文位はされようものと云ったほどの、美くしさをもって居た。

十六の時自分の名がお柳と書くのをいやがってどうでも「お龍」とかく様にしろとせびっていろいろ面倒な手つづきまでさせてお龍と書く様にしてもらった。しおらしくみどりの糸をたれる柳、まして三十三間堂のお柳と同じ名で自分の心とはまるであべこべだと云っていやがったのだ。

「女は柔しい名の方がどれだけいいんだか……

私の若い頃は名のあんまりすごい女はいやがられたもんだ……」

母親が娘の苦情をきいた半に斯う云った。

「ソウ、咲くかと思えばじきにしぼんで散ってしまう花――じきにとしよりになる様なお花なんて名がいいんでしょうか。でも、わたしゃお龍がすきなんだもの。龍があの黒雲にのって口をかっとひらいて火をふく所なんかはたまらなくいいけどもマアただの蛇がまっさおにうろこを光らして口から赤い舌をペロリペロリと出す事なんかもあたしゃだいすきさ、いいネエ……」

そのすごく光る目をあこがれる様に見はってお龍は斯う云って母親が顔色を青くしたのをまっくろな目のすみから見て居た。