Japanische Klassiker mit Furigana
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おひめさまとこじきのおんな
お姫さまと乞食の女
小川 未明
Lesen Sie お姫さまと乞食の女 (おひめさまとこじきのおんな) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.692 Zeichen · 16 Bildschirme
どこからともなく、柔らかな風が花のいい香りを送ってきますので、それをかいでいるうちに、門番はうとうとと居眠りをしていたのであります。
ちょうど、そのとき、みすぼらしいようすをした女の乞食がお城の内へ入ってきました。女の乞食は門番が居眠りをしていましたので、だれにもとがめられることがなく、草履の音もたてずに、若草の上を踏んで、しだいしだいにお城の奥深く入ってきたのであります。
お姫さまは、おりから、怪しげなようすをした女がこちらに近づいてくるのをごらんになりました。そして、よくそれをごらんになると、自分と同じ年ごろの美しい娘でありました。お姫さまはこんなに美しい娘が、どうして、またこんなに汚らしいようすをしているのかと怪しまれたのです。
「おまえは、だれだ?」と、お姫さまは、おたずねになりました。
すると女の乞食は、悪びれずに、
「わたしは、貧しい人間です。親もありませんし、家もないものです。こうして諸方を歩いて、食べるものや、着るものをもらって歩く人間なのでございます。」と答えました。
お姫さまは、その話を聞いていられる間に、幾たび、びっくりなされたかしれません。