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Japanische Klassiker mit Furigana

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おりつとこらと

お律と子等と

芥川 竜之介

Lesen Sie お律と子等と (おりつとこらと) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.195 Zeichen · 51 Bildschirme

Aozora Bunko

どうも案外待たされましてな。」

神山は浅川の叔母に一礼してから、懐に入れて来た封書を出した。

「御病人の方は、少しも御心配には及ばないとか申して居りました。追っていろいろ詳しい事は、その中に書いてありますそうで――」

叔母はその封書を開く前に、まず度の強そうな眼鏡をかけた。封筒の中には手紙のほかにも、半紙に一の字を引いたのが、四つ折のままはいっていた。

「どこ? 神山さん、この太極堂と云うのは。」

洋一はそれでも珍しそうに、叔母の読んでいる手紙を覗きこんだ。

「二町目の角に洋食屋がありましょう。あの露路をはいった左側です。」

「じゃ君の清元の御師匠さんの近所じゃないか?」

「ええ、まあそんな見当です。」

神山はにやにや笑いながら、時計の紐をぶら下げた瑪瑙の印形をいじっていた。

「あんな所に占い者なんぞがあったかしら。――御病人は南枕にせらるべく候か。」

「お母さんはどっち枕だえ?」

叔母は半ばたしなめるように、老眼鏡の眼を洋一へ挙げた。

「東枕でしょう。この方角が南だから。」

多少心もちの明くなった洋一は、顔は叔母の方へ近づけたまま、手は袂の底にある巻煙草の箱を探っていた。