Japanische Klassiker mit Furigana
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おとうさんのみたにんぎょう
お父さんの見た人形
小川 未明
Lesen Sie お父さんの見た人形 (おとうさんのみたにんぎょう) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 3.705 Zeichen · 8 Bildschirme
ただ、夏雲が、水の上に漂っているかと思うと、いつしか、それは消えてしまいました。
こうして、幾日かの航海をつづけた後で、やっと、かなたに陸が見えたのでした。船に乗っているものは、みんな喜んで、甲板に出て、その方を望み、叫び、手をたたいて、躍りました。久しぶりで、港に着いたからです。
けれど、この港に着いて、この父親の乗っている、船の航海は終わるのでありません。さらに、いくつかの港へ寄らなければならなかったのでした。
「どうか、私の帰るまで、家に、なんの変わりもなくてくれるように……。」と、父親は、心で祈っていました。
汽船が、港に着くと、人々は、陸を見物するために、あがったのです。父親も、ぶらぶらと歩いてみました。どこの船着き場も、そうであるように、街はにぎやかでした。酒場もあれば、宿屋もある。また諸国の雑貨を商う店などが、並んでいます。ここに、夏の晩方であって、芸人が、手風琴などを鳴らし、唄をうたって、往来を流していました。
「あれは、支那人かしらん……。」と、ちょっと父親は、立ち止まって振り向いてみました。
街には、小路が、いくつもありました。
「なにか、珍しいものでも、見つからないか。