Japanische Klassiker mit Furigana
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かやのおいたち
かやの生立
岡本 かの子
Lesen Sie かやの生立 (かやのおいたち) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.632 Zeichen · 25 Bildschirme
「おや、見つけた、見つけた、こんな処に居なさったか、おかやちゃん」
斯う云いながら、色の白い太り肉の体を其処へ表わしたのは、かやの婆やのお常である。婆やは両手を広げる様な恰好をして、かやに近づいた。「さ、お汁がさめますよ、お朝飯にしましょ」と云ってかやの体を半分抱き乍ら納屋と裏庭の竹の四つ目垣の間を通って、母屋の茶の間へ連れて来た。
太い古い土台木を跨いで這入ると、広い薄暗い台所の正面に、ぴかぴか、塗りの光る腰の高い竈が三つ程も火附口を並べて厳めしく据えられてある。土間から細縁を上ると其処は六畳敷ばかりの板の間へ薄い藺呉座が延いてあって、女中や下男の、古い飴色の箱膳が並んで居る。茶の間は其より一段高く仕切られた八畳程の黄色っぽい座敷である。
正面の柱には大きな古めかしい八角時計が高く掛けられてあって、其下には、ぴらぴらした何かの受取紙の赤じみて古くなったのまでが、盛り上る程重ねて留めてある竹の「指し」や、くねくねとした字で書いてある青や赤の封筒だの、端書だのが、ぎっしり詰った状差しが、段々に釘付けられてある真下には、小形の古い机が置かれて「土地台帳」