Japanische Klassiker mit Furigana
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あじさい
たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集
佐藤 春夫
Lesen Sie たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集 (あじさい) von 佐藤 春夫 (さとうはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.277 Zeichen · 84 Bildschirme
とは云わないで、わたくしを別室に導き請じながら、
「残念なことに、少しできそこなって居りましてね」
と小さなベッドの上にあった産れたばかりの嬰児を抱き上げつつ
「生れた時の泣き声が少しおかしいので、よく見ると鼻がいけないのでしてね」
と抱き上げていた嬰児を片手に持ちかえて片手ではその鼻を惨酷にもぐっと突き上げて見せ、
「これです」
というのを見ると鼻腔が大きくただ一つなのである。わたくしは明け方のいやな夢を思い出した。医師はなおも語る――
「奥はつまっているのですね。これでは声も出ないはずです。かわいそうに死にに生れ出たようなものですよ。胎内では臍帯からすべての栄養を摂っていますから困りませんが、生れ出て来れば第一に呼吸しなければなりませんから、これでは無理です。それでこれにいろいろ手を尽してみても、こういう欠陥のあるのは他の部分にも必ず何か思わしくないところがあり勝ちでしてね。完全には発育しにくいものなのです。しかしこのままにして置けば今に死んでしまうよりほかありませんが、どうしたものでしょうか」
「さあ?」とわたくしも、咄嗟には何とも答えかねて、ただ嬰児の顔ばかり見ていたが、この子は胎内でも普通の子供とは違った苦しい生活をしていたものか、それとも短い生涯の運命を担っていたためかは知らないが、普通の赤ん坊のよう