Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あじさい
たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集
佐藤 春夫
Lesen Sie たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集 (あじさい) von 佐藤 春夫 (さとうはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.277 Zeichen · 84 Bildschirme
「佐藤のお父さんは、昨夜、狸と取組んだ。――おれのうちのお父さんがそれを見たんじゃ」
と、そう言い振らしている。外の子供たちは、「本当か、本当か」と私にそれを聞きただしに来た。私は何となく腹立しいような恥かしいような気がしてならなかった。
それから私はひるの時間にうちへ帰ると早々、父の部屋へ行って見た。父はからだのどこかへ繃帯を一杯巻いているに相違ない――とそう思いながら。ところが父の部屋には父は居なかった。それで、私はいくらか安心しながら、
「お父さんは?」
と、そう女中の一人に尋ねた。
「きっと診察室の所でしょう」
と、その女中が答えた。それで私は診察室の方へ行って見た。そこにも私の父は居なかった。
「お父さんは?」
と、そう私は薬局生に尋ねた。
「お父さんは今、病家へ行きましたよ」
と、薬局生が何か仏頂面をしてそう答えた。私にはろくに注意もしてくれない。その何となく無愛想な様子と、お昼御飯の時刻だのに父が家のどこにも居ないということが私には妙に不安心であった。私はそれを気にもしながら御飯をたべたが、御飯の時にも、私の気のせいか皆いつものように打とけていないような気がする――何か子供等にかくしているような気がしてならない。