Japanische Klassiker mit Furigana
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あじさい
たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集
佐藤 春夫
Lesen Sie たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集 (あじさい) von 佐藤 春夫 (さとうはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.277 Zeichen · 84 Bildschirme
牧野は十分に酔い、十分に語りながらなおも名残を惜しみつつ、三日ほど後にわが家に近い椿山荘で催される或る忘年会に招かれているから、その帰りにはまた必ず立寄ると云いながら座を立って、玄関では靴をはく手元もおぼつかないほど泥酔していながらも、繰り返し繰り返して、
「ではまた三日ほど後にはきっと来ますからね」
と云いつつよろよろと立ちあがって出て行く。
「めずらしくだいぶん酔っているが大丈夫か」
「大丈夫ですともたいして酔っちゃいません」
と言葉を交して別れた。
そうしてその三日後には、椿山荘でも同席の友人に帰りにはわたくしの家へ立ち寄ろうと云いながらも、まだ用談がかたづいていないからそれをすましてから、帰途でもよいと云いながら銀座のバーの二次会へ出かけていったと云う。
そうしてそのバーで酔余、階段から墜落して死んだという思いがけない電話をバーから直接ではなく間接の電話で聞き知って愕然とした。わたくしは階段から落ちて死んだというのはちと合点がいかぬと思いながらもその急死を悲しんだものであったが、酔余心臓か脳に発した故障のため、半死の状態で墜落したらしいのである。