Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

あじさい

たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集

佐藤 春夫

Lesen Sie たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集 (あじさい) von 佐藤 春夫 (さとうはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.277 Zeichen · 84 Bildschirme

Aozora Bunko

と、これこそまがうかたもない三郎の声がはっきりとそう聞えて来たものです。それで姿こそ見えないが三郎が帰って来てここにいるとわたくしにも判ったものでした。

三郎の言葉ではじめて気がついて、わたくしは閣下のむかしのマントやら自分のコートなどを取りそろえ、度々の停電にそなえていた蝋燭をともして、その夜はその寒々とした塵まみれの部屋で夜が白んだものでございました。(思えばこの部屋は三人兄弟が子供の時分雨の日の遊び場に当てていたところです)むかしのままに残されていた大きなテーブルの隅の三郎が立っていたというところには埃の上に人の手のあとが多くのこっているのを見ているうちそこに落ちている煙草の灰があったので、閣下に、

「三郎は煙草を吸って居りましたか」

「うん、いつもと同じに煙草も吸っていたよ」

と閣下が云うので、わたくしはあとで、三郎の部屋にあったあの子の気に入りの灰皿を持って来てそこに置いておいてやりました。

それから庭にNさんを見かけた時、

「夜ぜんはポスが何であんなにへんな長なきをいつまでもしたものでしょうか」と聞いてみるとNさんは、

「昨晩は、夜更けに塀の外で靴音がして、それがどうも三郎さまの足おとのような気がしていると、ポスもその靴音を聞きつけて二声三声、短く吠え出しました。