Japanische Klassiker mit Furigana
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あじさい
たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集
佐藤 春夫
Lesen Sie たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集 (あじさい) von 佐藤 春夫 (さとうはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.277 Zeichen · 84 Bildschirme
おかげでせっかく見えそめた三郎のすがたまで涙のなかでぼやけて、しまいには涙といっしょに流れてしまったらしいので、それっきり三郎は二度とふたたびわたくしには見えません。さよならも云わないでどこかへ行ってしまいました。閣下のようにいつも三郎がありありと見えるならわたくしはもう眼などつぶれてしまってもいいと思っているほどです。
老夫人の話はおしまいになるとしどろもどろでよくわかりません。いつでも同じことですが、おおよそはそんな話なのです。あの老夫人は、このごろでは眼の治療で通うというよりもその話を聞かせに来るような気がします。一とおり話し終るとしどろもどろに話を終って一しきり泣いた眼を僕に洗眼させて気がすんだように帰って行くのです。僕も今では眼科の治療ではなく一種の精神療法に役立つような気がして同じ話を毎日飽きもせずに聞いているのですが、今日も診察時間がすぎたらまたその話をするつもりでいたのでしょうが、あなたがたが見えたので今日はあきらめて退散したのでしょう。いや治療はもうすんでいたのです。毎日来た時に一度、それから話がすんでかえる時にもう一度というわけです。