Japanische Klassiker mit Furigana
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『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ
たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】
佐藤 春夫
Lesen Sie たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】 (『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ) von 佐藤 春夫 (さとうはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.182 Zeichen · 48 Bildschirme
わたくしはさっきから思い出しつづけていた道灌山の姉の電話の話をこの男に聞かしてやったものであろうか、その必要もなかろうかなど、とつ追いつ思いながら、
「何をする家ですかその石崎というのは」
「しもた家さんですが、何をなさるお人とも存じませんが、厩があって馬を飼っていらっしゃるのですから、あるいは軍人さんでもあろうかと思って居りましたが――お好きでお道楽に飼って置かれましたものか」
話の漠然としている点はいつまで経っても同じことなのでわたくしは一層じれったくなってしまって、ちょっと水を向けてみた。
「それで、あなたはナンですか、その石崎さんから何か損害でもかけられて居るのではございますまいか。それだと少し思い当るところも無いではありませんが」
「いやいや、滅相もない。秣を三四度お運び致しましたが、お代はその都度きちんと頂いて居ります。それだけにいけません。手前はそんな銭金のことで石崎さまを追っかけて居るのではございません。今度もまた秣のご注文をおとどけ致しますのでして、何しろ相手が生き物だけに気が揉めます。早くおとどけしなければとあせって居ります。この前差し上げたのはもう無くなっている日取りになって居りますので、わたくし荷車を引っぱって、飢えている馬をこうして追っかけている騒ぎですよ。