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Japanische Klassiker mit Furigana

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たねこのゆううつ

たね子の憂鬱

芥川 竜之介

Lesen Sie たね子の憂鬱 (たねこのゆううつ) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.606 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

たね子は夫の先輩に当るある実業家の令嬢の結婚披露式の通知を貰った時、ちょうど勤め先へ出かかった夫にこう熱心に話しかけた。

「あたしも出なければ悪いでしょうか?」

「それは悪いさ。」

夫はタイを結びながら、鏡の中のたね子に返事をした。もっともそれは箪笥の上に立てた鏡に映っていた関係上、たね子よりもむしろたね子の眉に返事をした――のに近いものだった。

「だって帝国ホテルでやるんでしょう?」

「帝国ホテル――か?」

「あら、御存知なかったの?」

「うん、……おい、チョッキ!」

たね子は急いでチョッキをとり上げ、もう一度この披露式の話をし出した。

「帝国ホテルじゃ洋食でしょう?」

「当り前なことを言っている。」

「それだからあたしは困ってしまう。」

「なぜ?」

「なぜって……あたしは洋食の食べかたを一度も教わったことはないんですもの。」

「誰でも教わったり何かするものか!……」

夫は上着をひっかけるが早いか、無造作に春の中折帽をかぶった。それからちょっと箪笥の上の披露式の通知に目を通し「何だ、四月の十六日じゃないか?」と言った。

「そりゃ十六日だって十七日だって……」

「だからさ、まだ三日もある。