Japanische Klassiker mit Furigana
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だいこん
だいこん
久生 十蘭
Lesen Sie だいこん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 153.732 Zeichen · 303 Bildschirme
パパの燕尾服は悲しげで、ママのモンタントはいかめしすぎてちっとも似あわない。ママはよほど前からこんなものがきらいになっているんだけど、きょうは愚痴をいわなかった。パパもママもなにか避けられない厳粛な義務をはたそうとしているようなストイックな顔をしていた。
横浜に近くなると、薄月が出て夜明けのような青い景色になった。前窓の中でヘッド・ライトに照らされた京浜国道がまっすぐにつづいている。四、五日すると連合軍が通る道だ。
「厚木へ降りた連合軍は、この道を通って東京へ進駐するんだね」
白手袋の手を膝について眼をつぶったまま、パパはうんともすんともいわなかった。
鶴見をすぎると国道が急に殺気だってきて、憲兵が赤い山形のついた提灯を振って人民の車をみなとめてしまった。山のような貨物や砲車を秘密っぽくカンヴァスで蔽い隠したトラックや、閣下クラスのセダンや、憲兵隊のサイド・カアがクラークションを鳴らしながらえらい勢いですっ飛ばして行く。
となりにあかあかとルーム・ランプをつけたパッカードが故障でエンコしている。参謀肩章をつるしたひとが朽葉色のしゃれたシートに掛け、白手袋の両手を剣の柄頭に重ねて、神がかりの武断派の蒼ずんだ顔でじっと前を見つめている。