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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちいさこべ

ちいさこべ

山本 周五郎

Lesen Sie ちいさこべ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.480 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

くろは腕で顔を掩い、子供のように声をあげて泣きだした。秋のまひるの、静かな普請場にひびくくろの泣き声は、そのままことの重大さを示すようで、みんな激しく圧倒され、すぐには身動きをする者もなかった。

「正吉、若棟梁を頼むぞ」と大六が穏やかに云った、「くろ、こっちへ来い」

大六はくろを脇のほうへ伴れていった。茂次は木小屋の前の材木に腰をかけた。彼の角張った逞しい顔は、放心したように力を失い、眼はぼんやりとして、白く乾いた地面を眺めるともなく眺めていた。おやじは死んだな、と茂次は心の中で思った。父の留造はその年の四月に倒れ、寝たり起きたりという状態が続いていた。病気はごく軽い卒中で、冬までには必ず全快すると、三人の医者が云った。

――火を見て二度めが来たんだろう。

激しい動作や心労が、二度めの発作を起こしやすいことはわかっていた。おそらく二度めが来たのであろう。おふくろはさぞ吃驚したろうな、と彼は思った。情には脆いが、気の勝っていた母は、四月に良人が倒れたときすっかり動顛してしまい、それ以来ひとが変ったように、引込み思案な、おどろきやすい性分になった。茂次が川越へ出仕事に来るときも、留守になにかあったらどうしようかと、いかにも心ぼそそうにしていた姿が眼に残っている。