Japanische Klassiker mit Furigana
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ちいさこべ
ちいさこべ
山本 周五郎
Lesen Sie ちいさこべ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.480 Zeichen · 67 Bildschirme
二日めの夕方、うとうとしていると、戸口で高い人声がするので眼をさました。子供の泣き声もするし、男のしゃがれた太い声で、「ぬすっと」と云うのも聞えた。茂次は起きあがり、平ぐけをしめ直して出ていった。入口の土間に男が三人、重吉はその一人に捉まえられて泣いており、おりつがしきりにあやまっていた。男の一人は二丁目の八百徳、一人は自身番の平助、一人は商人ふうの中年者で、これは知らない顔だった。
茂次はそこへいって、どうしたんだ、とわけを訊いた。重吉が八百徳の店先で蜜柑を取ったのだ、とおりつが答えた。
「私が証人です」と商人ふうの男が云った、「とおりがかりに見ると、この子が蜜柑をぬすんでいるものだから、私が捉まえたんですよ」
茂次は詫びを云った。八百屋の徳二郎は茂次より一つ年上で二年まえに嫁を貰い、もう女の子が一人あるが、小さいじぶんはよく遊んだし、喧嘩もしたものである。稼業が違うから親しいつきあいはないが、いまでも会えば立ち話くらいはするあいだがらであった。――だが茂次はいま言葉に折り目をつけて詫びた。自分たちの躾がゆき届かなかった、むろん蜜柑の代は払うし、これからはよく気をつける。