Japanische Klassiker mit Furigana
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ちいさこべ
ちいさこべ
山本 周五郎
Lesen Sie ちいさこべ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.480 Zeichen · 67 Bildschirme
「なんだ」と不審そうに茂次が訊いた。
「おりつっていう娘を知ってますか」と大六が云った、「炭屋の裏長屋にいて、おふくろがうちの店へ手伝いに来ていた」
「知ってるよ」と茂次が云った。
「雇ったのはあの娘なんだ」
茂次は大六の顔を見た、「――あれは、どこかの茶屋奉公に出てたんじゃないのか」
「並木町の天川だったそうだが」と大六は答えた、「それがじつは、おふくろが、やっぱりあの火事で焼け死んじまったそうで、すっかり途方にくれてるような按配だったもんだから」
「おいくも焼け死んだって――」茂次は遠くを見るような眼つきをした、「そいつは可哀そうに」
「それでもう、茶屋奉公をするはりあいもないし、できるなら生れた町内で堅気なくらしがしたい、みなさんの食事ごしらえや洗濯なんか引受けるから、と云うもんでね」
「わかった、おりつならいいだろう」
「あっしもそう思ったんだが」
茂次はまた大六の顔を見た、「――なにを云いそびれてるんだ」
「べつに云いそびれてるわけじゃあねえが」と大六はまた頭を掻いた、「じつは、こんどいってみると、あの娘が子供を集めて面倒をみているんだ、火事にあって、親きょうだいをなくした子供たちなんだが」