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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちくしょうだに

ちくしょう谷

山本 周五郎

Lesen Sie ちくしょう谷 (ちくしょうだに) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.788 Zeichen · 138 Bildschirme

Aozora Bunko

部落のあたりはまだうす暗く、青白い炊ぎの煙が、上からなにかで押えられでもするように、五段の条をなして横にたなびき、たなびいたまま動かずにいた。

急な踏段を曲りながらおりてゆくと、どこかでするどい女の悲鳴が聞えた。隼人が立停り、岡村も足を停めた。悲鳴はまをおいて聞えて来た。つんざくような、するどい、けものめいた叫び声で、隼人は「生皮を剥ぐ」という昔の刑罰を思いだした。

「いや、よしましょう」と岡村が云った、「かれらにはかれらだけの習慣があります、木戸の掟もかれらの習慣まで支配はできません」

「おまえに来いとは云わない」

隼人はそう云って歩きだした。

「私は正内老人を呼んでゆきます」と岡村が云った、「軽はずみなことはしないで下さい」

岡村は左のほうへ走っていった。

隼人は声のするほうへいそいだ。丈の低い檜の疎林があり、その蔭に一棟の家があった。棟が低く、萱葺きの朽ちかかったような屋根に手が届くくらいであった。

こういう家を三棟まで見、やがて十字の辻に出た。台地の中央を縦に通じているらしい、そこで女の悲鳴がまぢかに聞えた。隼人は右へ曲り、踏段を駆けあがった。