Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きつねつき
ちくま日本文学012 中島敦
Lesen Sie ちくま日本文学012 中島敦 (きつねつき) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.136 Zeichen · 19 Bildschirme
かえって彼に向って次々に新しい話を作ることを求めた。それがシャクの作り話だとしても、生来凡庸なあのシャクに、あんな素晴らしい話を作らせるものは確かに憑きものに違いないと、彼等もまた作者自身と同様の考え方をした。憑きもののしていない彼等には、実際に見もしない事柄について、あんなに詳しく述べることなど、思いも寄らぬからである。湖畔の岩陰や、近くの森の樅の木の下や、あるいは、山羊の皮をぶら下げたシャクの家の戸口の所などで、彼等はシャクを半円にとり囲んで坐りながら、彼の話を楽しんだ。北方の山地に住む三十人の剽盗の話や、森の夜の怪物の話や、草原の若い牡牛の話などを。
若い者達がシャクの話に聞き惚れて仕事を怠るのを見て、部落の長老連が苦い顔をした。彼等の一人が言った。シャクのような男が出たのは不吉の兆である。もし憑きものだとすれば、こんな奇妙な憑きものは前代未聞だし、もし憑きものでないとすれば、こんな途方もない出鱈目を次から次へと思いつく気違いはいまだかつて見たことがない。いずれにしても、こんな奴が飛出したことは、何か自然に悖る不吉なことだと。この長老がたまたま、家の印として豹の爪を有つ・最も有力な家柄の者だったので、この老人の説は全長老の支持する所となった。