Japanische Klassiker mit Furigana
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つぼみ
つぼみ
宮本 百合子
Lesen Sie つぼみ von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.918 Zeichen · 44 Bildschirme
こんな事を思いながら一日に一度は垣根のわきの柔な黒土のこまかなきめを見て居た。まっくらな土の香の高い水気の多い土面の下の中に一寸出て居る乳色の芽生えを想像して私は土上に出た芽生えに向けるような喜のみちた希望のあるほほ笑みを黒土の上になげて居た。
私は若しやあの暗い中で乳色の糸のような芽生がそのまま朽ちてるんじゃあないかとも、だれかうっかりものが掃除の時にするどいくわのさきでスッパリと思いきりよく殺してしまったんじゃないかとも思いまわして不安心な日を垣根の黒土を見ては送って居た。
今日、ほんとうに今日私は思いがけなくいつもの黒土の上にみどりの水々しい朝顔の二葉がうれしそうに若々しく勇ましく生えて居た。
「オヤ」
初めて見つけた時私はうれしさとおどろきのまざった小さなふるえ声で叫んだ。
「よくまア」
その二葉を地面にひざまずいて頬ずりしかねないほどのなつかしみをもってしげしげと見つめながらそう云った。心の中で私が先に云った「人間には想像もおよばないほどの偉い生活力が有るんですっから」と云ったことの目の前にあらわれて来たと云う事もうれしいと云う事の一部を占めて居た。