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Japanische Klassiker mit Furigana

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とうげのちゃや

とうげの茶屋

小川 未明

Lesen Sie とうげの茶屋 (とうげのちゃや) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 6.035 Zeichen · 12 Bildschirme

Aozora Bunko

酔っているときのような、気持ちになるのです。

おじいさんも、このごろ、こんなような日がつづきました。戸外は、秋日和で、空気がすんでいて、はるかのふもとを通る汽車の音が、よくきこえてきます。どこか、森で鳴く、鳥の声が、手にとるように、耳へとどきます。

おじいさんは、汽車の音がかすかになるまで、耳をすましていました。やがて、あちらの山の端を、海岸の方へまわるとみえて、一声汽笛が、高く空へひびくと、車が音がしだいにかすかに消えていきます。

「もう、汽車の窓から、沖の白い浪が見えろるだろう。」

おじいさんは、自分が、その車に乗っているような気でいました。

また、若い時分、山へ薪をとりに、せがれをつれていって、ちょうど出はじめたきのこをたくさんとったことを思い出しました。あのときの、冷たい地面に漂う朽ちかけた葉の、なつかしい香りが、いまも鼻先でするようです。帰ると、おばあさんも、まだ達者だったから、すぐなべへ入れて、火にかけました。

いま鳴く、鳥の声が、そのときのことを、しみじみと思い出させるのでした。

夢ともなく、うつつともなく、おじいさんが、じっとして愉しい空想にふけっていると、朝、この前を通って町へ出た村の人々が、もう用をたしてもどるころともなるのでした。