Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ながうたかんじんちょう

ながうた勧進帳

酒井 嘉七

Lesen Sie ながうた勧進帳 (ながうたかんじんちょう) von 酒井 嘉七 (さかいかしち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.698 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

この方は、色の黒い、瘠せぎすな、悪く申しますと、蟷螂を思わせる様な御仁でございましたが、お商売がら、と申すのでございましょうが、とても、お話がお上手で御座いまして、お弟子さんのお相手にも、子供には子供らしく、お若い方にはその様に、よくもああまでお上手にお話し対手が出来ること、と、私たちは何時もお噂いたしていたほどでございます。

丁度あの日は、嫌に湿っぽい、とても陰気なお天気でございました。私がお稽古に上りました時は、まだ、四時過ぎで、いつもは明るい奥の間が、うす暗く、ぼんやりと、座敷に座っていられるお母さんの影が、古い土蔵の白壁に静かにとまっている蜥蜴の様に、とても気味悪く、くっきりと浮んでいたことを記憶いたします。私が這入って行きますと、呉服屋の健さんが、唯一人座っていられました。私は、お母さんと、健さんに、

「今日は……」

と御挨拶いたしまして、健さんの傍に座ったのでございます。健さんは、

「いらっしゃい」

と、軽く頭を下げられました。二階からは、お稽古の声と三味線が聞えて参ります。

※(歌記号、1-3-28)旅の衣は篠懸の、旅の衣は篠懸の、露けき袖やしぼるらん