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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひとごろし

ひとごろし

山本 周五郎

Lesen Sie ひとごろし von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.607 Zeichen · 45 Bildschirme

Aozora Bunko

「あなたにうかがいたいことがあるんだけれど」と、田川屋へ泊ってからおようが云った、「こんなことうかがうのは失礼かしら」

宿帳にはこれまでどおり兄妹と書いたので、二人は八帖の座敷に夜具を並べて寝ていた。

「聞いてみなければわからないな」と六兵衛は答えた、「――尤も、なにをきかれるかはおよそ見当がつくけれどね」

「あらほんと」おようは枕の上で頭をこっちに向け、つぶらな眼をみはった、「そんならなにをきくと思って」

「うう」と彼はあいまいな声をだし、それから溜息をついて云った、「たぶん私には、上意討ができないだろう、ということじゃないかな」

「そのことなら心配はしていません」

こんどは六兵衛が振り向いた。

「ええそうよ」とおようは彼に微笑してみせた、女が心から信頼する男にだけしか見せないような、匂やかな微笑であった、「昂軒っていうんですか、あの人はもう疲れきって、身も心もくたくたになっています、いまならあたしにだってやっつけられますわ」

「そうはいかない、武芸の名人ともなれば、いざという場合になると吃驚するように変るものだ、吃驚するようにね」と云って六兵衛は深い太息をついた、「――あいつを仕止めるには、まだ相当に日数がかかるよ」