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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひととき

ひととき

宮本 百合子

Lesen Sie ひととき von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.370 Zeichen · 7 Bildschirme

Aozora Bunko

はるかな森の梢に波立って居るうす紅い夕栄の雲の峯を見入りながら、私は花園の入口の柱によりかかって居る。

何となく朝から霧の晴れ切れない様な日だったので、非常に静寂な夕暮である。

うす青い様な空気の中に素早い動作で游いで居るトンボと蝙蝠の幾匹かは、一層高いところを、東へ東へと行く白鳥の灰色の影の下に如何にも微妙な運動をしめして居る。

つめたい風が渡って居そうに暗い木陰に、忘られた西洋葵の焔の様な花と、高々と聳え立って居る青桐の葉の黄金の網とが、眠りに落ち様とする沈んだ重い種々の者を目さめるまでに引きたてて、まだ虫の音のまばらな、ひると、よるとのとけ合った一時を、思い深げに飾って居る。

くつろいだ心地になって、私は持って居た本の背をやさしくなでながら、斯う云う時に有り勝な、沈ついたどっちかと云えば悲しみのこもった気持で、はてしなくいろいろの事を思いふけった。

永い間例え折々は気まずい思いをしあっても、自分の友達の一人として居たまだ若い人が廻復の望がないと云われた病にかかって居るときいてからはいつもいつもその事ばかりが思われてならない。

額の広い、健な時はきれいだとは云われなかったその人がこの頃はああ云う病気特有のすき透るほど白い肌になって見違えるほどなよやかに美くしくなったとか、西洋人形の様に大きい眼に涙