Japanische Klassiker mit Furigana
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へちまのき
へちまの木
山本 周五郎
Lesen Sie へちまの木 (へちまのき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.120 Zeichen · 58 Bildschirme
――記事のたねを金にするとは、どういうことです。
――桜谷はんにきいてみなはれ、と云って文華は三角の小さな眼を皮肉に細めた、それにな、弁当屋から弁当を取って喰べるような結構な身分で、銭かねのことを云うなんて似合いまへんで。
そのとき房二郎は、ちょび髭を殴りつけたくなったが、急に自分が恥ずかしくなり、文華の前からひきさがった。こんな卑しい写し物などをして、給銀を貰おうなどと思った自分が、なんともあさましく感じられたからである。
「木内さんあれを聞いていたのかい」
「だから酒をつきあったのさ」と木内は云った、「あんたはいつかのように梯子酒で、おれは泥棒になりてえって、大きな声で云い続けていたよ」
その気持はよくわかる。だが世間というものは、きれいごとだけで生きてゆけるものではない。瓦版屋はずいぶんあるが、ごまかしでない、本当の記事で売れている店はごく僅かなものだ。あとは大なり小なり悪質な、拵え話か事実無根のあくどい記事で、ようやく生計を立てている、というのが大多分なのだ。その中で文華堂が、いちおう店を張っているのは、おそでが金を持っていること、家作も十軒ばかりあるし、どうやら小金貸しもやっているらしいからで、それでなければ古版木の改版や、わ印を売るぐらいでは、とうていやってはゆけないだろう、と木内桜谷は云った