Japanische Klassiker mit Furigana
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へちまのき
へちまの木
山本 周五郎
Lesen Sie へちまの木 (へちまのき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.120 Zeichen · 58 Bildschirme
六
「どうした」と木内が呼びかけた、「また宿酔ですか」
「そんなところだ、木内さんとはどこまでいっしょだったんですか」
「両国広小路の横丁だったな」木内はやはり手を止めずに云った、「おまえさんは段平と久兵衛にとりまかれてたから、そのあとどうしたか、おれは知らないよ、なにかあったのかい」
房二郎は答えずに、また溜息をついた。
六
十二月にはいって雪の降る朝、房二郎はいつもより半刻も早く、文華堂へでかけた。子供のじぶんから、彼は雪の降るのを見ると、家にじっとしていられず、すぐにとびだして友達をさそいだしたり、友達がいなければ独りで、赤坂の溜池や、馬場や、山王の森などをあるきまわるのが常であった。しかし下町の雪は積もるあとから掻き寄せられ、溝へ捨てられてしまい、狭い空地に残っているものも、きたならしくよごれていて、彼が少年のころ知っていた雪景色とは、まるでようすが違っていた。
――赤坂あたりはいまでもきれいだろうな。
そんなことを思いながら文華堂へゆき、店の脇にある階段を登ろうとすると、女中のおかつがいそいで寄って来て、このあいだはまた有難うねと、顔を赤くして吃りながら云った。