Japanische Klassiker mit Furigana
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へちまのき
へちまの木
山本 周五郎
Lesen Sie へちまの木 (へちまのき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.120 Zeichen · 58 Bildschirme
「刺身だ」と房二郎は手酌で一つ飲みながら云った、「かなっけのことは心配するなって云ってくれ」
「悪いしゃれだ」とまた木内が云った。
文華堂へ戻ってみると、刷り部屋の者もみんな来ていたし、記事部屋には木谷桜所が、自分の机の前におっとりと坐り、房二郎の書いた物を、おっとりと読んでいた。房二郎の写し物を読んでいたことはすぐにわかった。房二郎が自分の机の前に坐ると、桜所が立って来て、書いた紙の束ねを、静かに机の上に置き、拝見しましたと云った。
「拝見しましたが」と桜所はごく上品に云った、「これは雅文ですな、仮名がき女庭訓というのは、子守っ子にも読ませようというものですから、もっと俗語で書かなければ売れないと思うんですがね」
「俗語と雅文とどこが違うんですか」と房二郎が反問した、「教えていただきましょう」
桜所は柔和に微笑した、「あなたが道をあるいてるときとか、飲み屋で聞いたり話したりするときの言葉です、こんなことは云うまでもないでしょうがね」
房二郎は嚇となったが、桜所のにこやかに微笑しているのを見ると、気が挫けてどなり返すこともできなかった。桜所がゆったりと、会釈をして出てゆくなり、房二郎は机の前に坐って、きざな野郎だと、舌打ちをした。