Japanische Klassiker mit Furigana
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へちまのき
へちまの木
山本 周五郎
Lesen Sie へちまの木 (へちまのき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.120 Zeichen · 58 Bildschirme
「逆だな」と木内が云った、「世の中はいつでもそうだ、今夜は飲みあかそう、おい、酒をどんどん持ってこい」
その店がどこだか、房二郎にはわからなかった。冰るような川風に吹かれ、河岸をあるいた覚えがあるので、両国広小路か、その裏のどこかの横丁の飲み屋らしい。門前仲町で三軒ほど飲んだろうか、川をこっちへ渡ってからも二軒か三軒はしごをしたようである。そして西川文華をくさし、刷り部屋の連中が味方をしなかったことをくさし、おそでは女狐であるより、むしろ女狼であり、鬼女であるときめつけ、世の中ぜんたいを罵ったりした。
「木内さんはさっき、女房持ちだって云ったようだな」と房二郎がきいた、「ああ、門前仲町の飲み屋でだ、ほんとかい」
「それが問題さ」
寒い風が吹いていて、灯の見えない街を、二人はもつれあうように歩いていた。
「女房持ちにどんな問題がある」と房二郎が云った、「あの飲み屋の女も云ってたが、女房を持ってるのはあんただけじゃあねえだろう」
「おらあこのまま、どっか遠いところへいっちめえてえんだ」と木内が云った、「おまえさんもうちへ帰るほうがいい、しょせんまっとうにやっていける世界じゃあねえ、ってこともわかったろう、なんとか詫びを入れて呉れる親類があるんじゃあねえのか」