Japanische Klassiker mit Furigana
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たにしのしゅっせ
むかし むかし あるところに
楠山 正雄
Lesen Sie むかし むかし あるところに (たにしのしゅっせ) von 楠山 正雄 (くすやままさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 13.919 Zeichen · 29 Bildschirme
つぶ、つぶ、むこどの、どこへ行た、
お彼岸まいりにさそわれて、
からすのくちにつつかれな、
犬の足にふまれるな」
といいながら、田から田へとさがしてまわりました。どこへ行ってもたにしは数しれずうじゃうじゃころがっていますが、それがあんまりおおすぎて、どれがおむこさんのたにしなのか、かいもく、わけがわからなくなってしまいました。
およめさんは、それでもあきらめきれないので、あいかわらず、
「つぶ、つぶ、お里へまいらぬか。
つぶ、つぶ、むこどの、どこへ行た」
といいいい、さがしてまわるうちに、春の日はいつか暮れて、もう田んぼのなかはよく見えないのに、からだはどろまみれになってしまいました。すっかりくたびれて、がっかりしきって、泣き顔になって、およめさんは、深い深いどろ田のなかに、いまにもずるずる引きこまれそうになったとき、
「これ、これ、こんな所で、いつまでもなにをしているのだね」
といいながら、いつどこからあらわれたか、光るようなうつくしいわかものが、涙でかすんでいるおよめさんの目の前に、にっこりわらって立っていました。
水神さまの申し子でありながら、わけがあって、十年ものながいあいだ、たにしのからのなかに封じ込められていたのが、きょう、およめさんが水神さまのお社に参詣して、まごころをこめておいのりしてくれたおかげ