Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

やぶからし

やぶからし

山本 周五郎

Lesen Sie やぶからし von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.476 Zeichen · 44 Bildschirme

Aozora Bunko

あの方が去ってから約半年、九月になってまもなく、わたくしはおかあさまから離縁のことを相談された。

「お躯に変りはないようね」とおかあさまは初めに仰しゃった。

わたくしは漠然とではあるが、みごもる、ということだなと思い、「はい」と答えながら、顔が赤くなるのを感じた。

「それは不幸ちゅうの幸いでした」とおかあさまは仰しゃった、「あなたはまだ十六でいらっしゃるし、これからどんな良縁にも恵まれることでしょう、もちろんわたくしたちもこころがけますけれど、ここでいちど、おさとへお帰りになってはどうでしょうか」

わたくしは終りまで聞かずに、微笑しながらかぶりを振った。そんな話が出ようとは予想もしなかったが、聞き終るまでもなく、わたくしはきっぱりと云った。

「すずは細貝家の娘です、わたくしにはこの家のほかにさとなどはございません」

「それはそうですとも、けれど」

「いいえ」とわたくしはまたかぶりを振って云った、「おかあさまは初めから、わたくしを本当の娘のようにしか思えない、と仰しゃいました、そうしてわたくしにも、実の母親だと思うようにって、――わたくしも初めておめにかかったときすぐに、これが本当のおとうさまおかあさまだと思いましたし、いまでもその気持に変りはございません」