Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆずゆ
ゆず湯
岡本 綺堂
Lesen Sie ゆず湯 (ゆずゆ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.255 Zeichen · 27 Bildschirme
それを今夜初めて見たのである。お玉さんの平べったい顔は削られたように痩せて尖って、櫛巻にしているらしい髪の毛は一本も乱さずに掻き上げられていた。その顔の色は気味の悪いほどに白かった。
「旦那、旦那。」と、お玉さんはひどく若々しい声で呼んだ。
私も呼ばれて立ちどまった。
「あなたは洋服を着ているんですか。」
その時わたしは和服を着ていたので、わたしは黙って蝙蝠のように両袖をひろげて見せた。お玉さんはかの白い歯をむき出してにやにやと笑った。
「洋服を着て通りやあがると、あたまから水をぶっ掛けるぞ。気をつけやあがれ。」
窓はぴっしゃり閉められた。お玉さんの顔は消えてしまった。わたしは物に魘われたような心持で早々に家へ帰った。その当時、わたしは毎日出勤するのに、和服を着て出ることもあれば洋服を着て出ることもあった。お玉さんから恐ろしい宣告を受けて以来、わたしは洋服を着るのを一時見あわせたが、そうばかりもいかない事情があるので、よんどころなく洋服をきて出る場合には、なるべく足音をぬすんでお玉さんの窓の下をそっと通り抜けるようにしていた。
それからひと月ばかり経って、寒い雨の降る日であった。