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Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆずゆ

ゆず湯

岡本 綺堂

Lesen Sie ゆず湯 (ゆずゆ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.255 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

わたしは雨傘をかたむけてお玉さんの窓ぎわを通ると、さながら待ち設けていたかのように、窓が不意にあいたかと思うと、柄杓の水がわたしの傘の上にざぶりと降って来た。幸いに傘をかたむけていたので、差したることもなかったが、その時わたしは和服を着ていたにも拘わらず、こういう不意討ちの難に出逢ったのであった。その以来自分はもちろん家内の者にも注意して、お玉さんの窓の下はいつも忍び足で通ることにしていた。それでも時々に内から鋭い声で叱り付けられた。

「馬鹿野郎! 百姓! 水をぶっかけるぞ。しっかりしろ。」

口でいうばかりでない、実際に水の降って来ることが度々あった。酒屋の小さい御用などは、寒中に頭から水を浴びせられて泣いて逃げた。近所の子供などはくやしがって、窓へ石を投げ込むのもあった。お玉さんも負けずに何か罵りながら、内から頻りに水を振りまいた。石と水との闘いが時々にこの狭い露地のなかで演ぜられた。

そのうちにお玉さんの家は露地のそばを三尺通り切り縮められることになった。それは露地の奥の土蔵付きの家へ新しく越して来た某実業家の妾が、人力車の自由に出入りのできるだけに露地の幅をひろげてもらいたいと地主に交渉の結果、露地の入口にあるお玉さんの家をどうしても三尺ほどそぎ取らなければならないことになったのである。