Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆずゆ
ゆず湯
岡本 綺堂
Lesen Sie ゆず湯 (ゆずゆ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.255 Zeichen · 27 Bildschirme
日枝神社の本祭りで、この町内では踊り屋台を出した。しかし町内には踊る子が揃わないので、誰かの発議でそのころ牛込の赤城下にあった赤城座という小芝居の役者を雇うことになった。役者はみんな十五六の子供で、嵯峨や御室の光国と滝夜叉と御注進の三人が引き抜いてどんつくの踊りになるのであった。この年の夏は陽気がおくれて、六月なかばでも若い衆たちの中形のお揃衣がうすら寒そうにみえた。宵宮の十四日には夕方から霧のような細かい雨が花笠の上にしとしとと降って来た。
踊り屋台はぬれながら町内を練り廻った。囃子の音が浮いてきこえた。屋台の軒にも牡丹のような紅い提灯がゆらめいて――それおぼえてか君さまの、袴も春のおぼろ染――滝夜叉がしどけない細紐をしゃんと結んで少しく胸をそらしたときに、往来を真っ黒にうずめている見物の雨傘が一度にゆらいだ。
「うまいねえ。」
「上手だねえ。」
「そりゃほんとの役者だもの。」
こんな褒めことばが、そこにもここにもささやかれた。
お玉さんの家の人たちも格子のまえに立って、同じくこの踊り屋台を見物していたが、お玉さんの阿母さんはさも情けないというように顔をしかめて、誰にいうともなしに舌打ちしながら小声でののしった。