Japanische Klassiker mit Furigana
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アド・バルーン
アド・バルーン
織田 作之助
Lesen Sie アド・バルーン von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.390 Zeichen · 53 Bildschirme
も見られなくなるという甘い別れの感傷も、かえって私の決心を固めさせた。しかし、何よりも私の肚をきめたのは、父が私の申出を聞いていっこうに反対しなかったことです。私はそれを父の冷淡だと思うくらい気の廻る子供だったが、しかしそのころは大阪では良家のぼんちでない限り、たいていは丁稚奉公に遣らされるならわしだったのだから、世話はない。
いったいに私は物事をおおげさに考えるたちで、私が今まで長々と子供のころの話をしてきたのも、里子に遣られたり、継母に育てられたり、奉公に行ったりしたことが、私の運命をがらりと変えてしまったように思っているせいですが、しかし今ふと考えてみると、私が現在自分のような人間になったのは、環境や境遇のせいではなかったような気もしてくる。私という人間はどんな環境や境遇の中に育っても、結局今の自分にしかなれなかったのではないでしょうか。いや、私のような平凡な男がどんな風に育ったかなどという話は、思えばどうでもいいことで、してみると、もうこれ以上話をしてみても始まらぬわけだと、今までの長話も後悔されてきます。しかし、それもお喋りな生れつきの身から出た錆、私としては早く天王寺西門の出会いにまで漕ぎつけて話を終ってしまいたいのですが、子供のころの話から始めた以上乗りかかった船で、おもしろくもない話を当分