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Japanische Klassiker mit Furigana

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アパートできいたはなし

アパートで聞いた話

小川 未明

Lesen Sie アパートで聞いた話 (アパートできいたはなし) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 2.564 Zeichen · 5 Bildschirme

Aozora Bunko

そのおじさんは、いつも考えこんでいるような、やさしい人でした。少年は、その人のへやへいきました。

「なにか、お話をしてくださいませんか。」と、たのみました。

「どんな話かね。」と、おじさんは、聞きました。

「どんな話でもいいのです。」と、少年がいうと、おじさんは、つぎのような話をしてくれたのです。

二、三日まえの新聞にあったが、街の中央へビルディングができるので、地を深くほりさげていると、動物の骨が出てきた。それを学者がしらべて、およそ二万年も前の人間の骨で、まだ若い二十歳前後の女らしいが、たぶん波にただよって、岸に死体がついたものだろう。この街のあるところが、当時は海岸であったのがわかるというのだ。

この記事を見て、私は考えさせられた。大和族より、もっとさきに住んでいた民族であろう。そのような遠い昔から、人類には悲しみや、不幸というものが、つきまとっていたのを知ったからだ。いかなる災難か、またなやみからで、その女は死んだのであるが、若い身でありながら、人生のよろこびも、たのしみも、じゅうぶん知らずして、死んでしまったのだ。

幾十世紀かの間には、海が陸となったり、また陸が海になったりして、おどろくような事実があるにちがいないが、それよりも、人間の生命のはかなさというものを、より強く感じられる。