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Japanische Klassiker mit Furigana

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アンドロギュノスのちすじ

アンドロギュノスの裔

渡辺 温

Lesen Sie アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) von 渡辺 温 (わたなべおん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.168 Zeichen · 267 Bildschirme

Aozora Bunko

――兄さん。この性の悪いいたずらをゆるして下さい。兄さんがこの手紙をためらいながら封を切ったとすれば、兄さんは、本当に幸子さんや僕を愛していてくれたものと信じます。その兄さんの気持に甘えて、神かけて最後の真実をお話しします。幸子さんの愛していたのは、兄さんではなく、やっぱり僕だったのです。あの日幸子さんは、どう云うものか、ひどくヒステリックになっていて、あのきりぎしの上で僕が幸子さんを捕まえると、幸子さんは泣きながら、僕に一緒に死んでくれと云いました。

僕は、兄さんを愛しているし、それにいくら僕が永く生きられない身だからと云って、幸子さんの気紛れな感傷につけ込んで心中なんかするのは嫌だから、断然それを拒絶したのです。すると、幸子さんはいきなり何かわめいたかと思うと、身を躍らして崖の下へ飛び込んでしまったのです。僕は、幸子さんを殺しはしなかった。幸子さんを殺したのは、兄さんです!

では、何故僕は自分で幸子さんを殺したなぞと云い出したのかと、不思議に思うかも知れないけれど、それは只兄さんが死んだ幸子さんの思い出や、形見ばかりに綿々としている様子が、僕にはひどく哀れに思えると同時に、我慢のならない程反感を感じさせたからです。